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パリにあるワインバー「Juveniles」のオーナーであるティム・ジョンストンに提案され、彼のためにステンレスタンクで熟成させたフレッシュなワインを造ったようです(バーとワインの名前になっている「Juveniles」とは「若々しい」という意味)。
グルナッシュ60%、マタロ(仏で言うムールヴェードル)20%、シラーズ20%という南仏的セパージュですが、飲んだ瞬間「えっ?」と感じるほど、過去にまったく体験したことのない個性と表情を見せつけてくれます。
最初にキリリとした酸が主張してきますが、その直後にとんでもなく凝縮した果実の甘みがトロピカルフルーツ的な南国風味で一気に浸透してきます。最初は素直に受け入れがたい表情だったのですが、時間とともに酸が落ち着き全体的にもまとまっていきます。
梅仁丹的というか梅干のお菓子的と言うか、かなり不思議な風味を持っていますが、最初は引っかかる凝縮感が次第にこなれほぐれていくので、その時が来るまではしばらく見守ってください。そうすれば、この個性を素直に受け入れ美味しいと思える瞬間がやって来ると思います。翌日以降に持ち越すと酸以外の要素が程よく落ち着き、カンテランヌを思い起こすような部分も出てきます。
嗜好性という意味では幅広く受けるようなタイプではないかもしれませんが、かなり興味深い内容になっているのは確かです。
(2003/04)