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パーカーの高評価も手伝って、近年ブルゴーニュで急成長を見せるフレデリック・マニャンの「シャンボール・ミュジニー」です。
彼のワインはすべて買い付けた葡萄から造られることになりますが、質の良い葡萄を買い付けることに心血を注いでいるようなので大きな問題にはならないでしょう。そして使用される全ての樽は、木材を3年間熟成させたDRC仕様のものをフランソワ・フレール社から供給を得るという豪華な仕様となっています(この仕様の樽をすべてのワインで使っているのは、DRC、ルロワ、フレデリック・マニャンのみ)。
今回のワインは、アメリカ最大級のインポーターであるノース・バークレー社によるバレル・セレクションのキュヴェとなっているので、通常の村名クラスよりは質が高いことが予想されます。シャンボール・ミュジニーといえば「優雅で気品のあるワイン」と表されることからもわかるように、全体的に優しく流麗なスタイルとなっています。軽目で構造も比較的タイトな印象を受けたのですが、口に含んだ瞬間のみに姿を表す果実の甘味に加え、全体を支配する「膨大で綺麗な酸」が妙に心地よく、じっくり飲めば飲む程その世界観に引き込まれていきます。とはいえ、やはり「酸」が主体なワインとなっているので、このスタイルが根本的に受け入れ難い人もいるでしょう。
時間、そして澱に近付くに連れて酸は印象的なものになり、萎縮する程体の芯に染み込んでくるのである程度の覚悟は必要ですが、素直にその流麗さを受け入れることができれば非常に美味しく飲むことができると思います。多少難易度が高く万人向けとは言い難いのですが、「パワフルで果実味溢れるワインだけがすべてではない」ということを理解できる1本なので、個人的にはお薦めしたいところです。
(2002/06)