- Good Quality -
シャトー・ド・ヴァランドローのテュヌヴァンが造るワインであり、この1998年がファーストリリースで年間11,000本の少数生産となっています。セパージュはメルローとカベルネ・フランが50%ずつで、葡萄の平均樹齢は30年となっています。
本来は1996年にクリュ・クラッセの「Cure Bon La Madeleine」を購入したかったようですが、前オーナーはジャン・リュックを拒みシャネルグループへ販売しました。そこで19世紀の「Editions FERET」で2級に位置付けされていた、パヴィとラルシス・デュカスの葡萄畑の間に位置する6.5ヘクタールの「クロ・バドン」を1998年に手に入れたわけです。
世の評価はファーストヴィンテージであるのにも関わらずいきなり高いものとなっているようです。今話題のテュヌヴァンのワインであり、加えて生産本数も少ないので稀少価値的側面が強くなりがちですが、個人的には世の評価程の出来ではないように感じます。「将来性は十分あるが今でも美味しい」という話しを聞いたので抜栓してみたのですが、飲めなくはないが明らかに「待ち」状態だと感じます。コーヒー、ビターチョコのような要素に凝縮感のある強いタンニンが絡み合い、落ち着き纏まるのにはもっと多くの時間が必要だと感じます。確かに果実味は十分堅持しているのですが、内向的ながら逆側に突き抜ける程のタンニンに支配されているので、最低でも抜栓後数時間経過させないと表情を伺うことが困難な状態でした。翌日以降に持ち越すことでかなり落ち着き飲みやすくはなりますが、全体的なトーンも下降していくので判断が難しいところです。
潜在的なポテンシャルは確実に秘めているので、実力を発揮した状態を味わいたいのならばもう数年は様子を伺う方がベターだと思います。もしかすると「評価の高いワインと素直に美味しいワインとが必ずしも直結するわけではない」ということが理解できる良い例なのかもしれません。
(2002/04)