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特別特集 紡がれるブルゴーニュの伝説「ルロワ」

ルロワの歴史 History of Leroy

世界的に傑出した評価を得る、ブルゴーニュを代表する伝説的生産者が「ルロワ」。その歴史は1868年にまで遡ります。当時、オーセイ・デュレスに居を構え、ムルソー、ポマール、シャンベルタン、ミュジニー、クロ・ヴージョ、リシュブールといった偉大な区画を所有していた「フランソワ・ルロワ」が、さらなる事業の拡大を考え設立したネゴシアン「メゾン・ルロワ」がその始まりとなります。

その後、フランソワの息子「ジョセフ・ルロワ」の代になると、妻のルイーズとともに事業をさらに拡大し、ワインだけでなく蒸留酒の製造などにも着手し成功を手中に収めます。そして1919年には、ジョセフとルイーズの息子「アンリ・ルロワ」も事業に参加するようになり、コニャック近郊での子会社設立や輸出展開など、さらなる事業拡大を進めます。

ルロワ社にとって大きな転機となったのが、この三代目のアンリの時代で、1942年、当時経営難に陥っていたDRC(※1)のオーナーの一人だったジャック・シャンボンから経営権を買い取り、DRCの協同経営者として様々な改革を実行します。DRCを立て直し、世界的なトップドメーヌとして認知されるまでに躍進させたアンリは、1974年に娘となる「ラルー・ビーズ・ルロワ」にその地位を継承し、1980年、その生涯に幕を下ろします。

1970年代から1980年代は、化学肥料や農薬が一気に広まった時代でもあり、葡萄の生産性は向上したものの、逆に生態系を壊し、テロワールの表現からは遠く離れワインの味に変化が訪れた時代でもあります。生後3歳の頃からテイスティングを行なっていたとも言われ、若くして天才的なテイスティング能力を持つことで有名だったラルー・ビーズ・ルロワにとっては、自ら納得のいく水準のワインを確保することが徐々に難しくなり、1988年、長年の栄光とDRCの復興で勝ち得た資産をもとにして、ヴォーヌ・ロマネのチャールズ・ノエラとジュヴレ・シャンベルタンのフィリップ・レミーから畑を購入し、遂に自身のドメーヌを立ち上げます(※2)。

ドメーヌ・ルロワの設立と同じ1988年、ラルー・ビーズ・ルロワは夫とともにサン・ロマンの高台にある「ドメーヌ・ドーヴネ」も購入し、完全に個人所有となるドメーヌのオーナーにもなっています。これにより、ルロワに関するワインは、テイスティングによって良質なワインを購入して自社で熟成させるネゴシアン部門の「メゾン・ルロワ」、ビオディナミで栽培される自社畑の「ドメーヌ・ルロワ」、ラルー・ビーズ・ルロワが個人で所有する「ドメーヌ・ドーヴネ」、この3三種類が存在することになります(※3)。

※1)Domaine de la Romanée-Contiの略。世界一有名と言っても過言ではないワイン「ロマネ・コンティ」を造る偉大な生産者。

※2)当時、ルロワ社との契約で日本におけるDRCの販売権を所有していた高島屋との関係もあり、新たに立ち上げた「ドメーヌ・ルロワ」については、高島屋も資本参加し1/3を出資しています。そういった経緯から、現在でもルロワの全てのワインについて、高島屋のグループ企業である「グッドリブ」が日本における正規輸入代理店となっています。

※3)見た目で分かる違いとしては、メゾン・ルロワはラベル下部に「Mis en bouteille par Leroy Négociants à Auxey-Meursault (Cote-d'Or)」と記載され「白のキャップシール」を採用している点、ドメーヌ・ルロワはラベル下部に「Mis en bouteille au Domaine Propriétaire à Vosne-Romanée, Cote-d'Or, France」と記載され「赤/黄のキャップシール」を採用している点、ドメーヌ・ドーヴネはラベル下部に「Mis en Bouteille au Domaine par Lalou Bize-Leroy, S.C. du Domaine d'Auvenay, Meursault, France」と記載され、ラベルに「ドーヴネの屋敷を描いている」という点が挙げられます。

ビオディナミ Biodynamic

ラルー・ビーズ・ルロワといえば、圧倒的なテイスティング能力を誇るという他にも、「ビオディナミ農法(※4)の積極的な支持者」という大きな特徴があります(自社畑は1988年9月に全てビオディナミに移行済み)。これは1970年代以降に顕在化した、「化学肥料使用による悪影響」に対して多大な懸念を持っていたことが要因のひとつで、ワインの個性を決定する「土地が持つ本来の力」をより重視していることの表れでもあります。

近年、マーケティング的な側面としても語られることのある「自然派ワイン」も、主にビオディナミやビオロジックなどを採用していますが、同じビオディナミを採用するルロワは根本的なスタンスが異なります。圧倒的な高品質を求めるその先、ラルー・ビーズ・ルロワの要求する高い水準をクリアするために行き着いたのがビオディナミであり、実際にルロワのワインを飲めば、傑出した凝縮度と緻密度を誇る果実味、そしてそこから発せられる高いエネルギーなど、土地の持つ力がそのままワインという液体に転換されているのが具に分かります。ルロワが単純に「自然派」というカテゴリーで語られることが一切ないのは、DRCなどと同様に、ビオであるかどうか以前に、最終的なワインが非常に高い次元で存在しているからだとも言えます。

※4)ビオディナミ、またはバイオダイナミクスと呼ばれるこの理論を利用した農法は、化学肥料は一切使用せず、プレパラートと呼ばれる調合剤を用いて病害に強い土壌を形成し、天体の動きや引力、特に月の満ち欠けという自然のリズムを重視した、ルドルフ・シュタイナーが提唱した有機農法の一種となります。

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