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ペルカルロやリコルマなどを生み出し、トスカーナ屈指の生産者とされる「サン・ジュスト・レンテンナーノ」。そんな彼らが造る、ある種の究極の甘口ワインとなるのがこの「ヴィン・サン・ジュスト」。収穫後、陰干しして水分を飛ばし、凝縮度を上げてから造られる甘口ワイン「ヴィン・サント」と、造り手の名前「サン・ジュスト」を掛け合わせた名前となっています。
アルコール度数が9.5%しかないということもあってか、近年はヴィン・サントとしてではなくVDTに格下げしてリリースされているようです。とはいえ、格下げしようが偉大なものは偉大、ということがはっきりとわかる、圧倒的に突き抜けた世界観なのが非常に印象的です。ちなみに今回の2006年ヴィンテージは、ヴェロネッリで驚異の「99点」を獲得し、当然のようにスーペル・トレ・ステッレにも輝いています。
非常に濃い琥珀色で、グラスに注いだその瞬間からその際立った粘度を持つ液体の流れに目を奪われます。もはやメープルシロップと見紛うようなのようなとろみがあり、見た目からして既に一般的なワインとはその性質を異にします。また、見た目の印象通り、圧倒的な凝縮度と甘みを兼ね備え、蜂蜜、コンポート、アーモンドなど、多様で複雑な要素が渾然一体となった甘美な世界が広がります。ベースで支える酸のおかげもあってか、これだけ凝縮して甘いにもかかわらず、決して重くはならず、破綻することなくきっちりバランスが取れていることにも驚かされてます。
価格的な問題と生産本数の問題もありますが、ヴィン・サントどころか、一般的な極甘口ワインとも異なる、突き抜けた独自性と文句のつけようのない世界観が非常に印象的なので、甘口ワインが好きな人であれば一度は試す価値がありそうです。
(2015/12)