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プルモー・プリセに所有するモノポールがこの「クロ・デ・フォレ・サン・ジョルジュ」。クリマに付けられた「サン・ジョルジュ」の名が示す通り、グラン・クリュに相当するとも言われる偉大なクリマ「レ・サン・ジョルジュ」と同じく、畑はシルトと粘土で構成された緩斜面で、そこから生み出されるワインは男性的な力強さや逞しさが特徴となります。同じ区画の若木(樹齢17〜19年)で造られるプティ・プレとはすべてにおいて充実度が異なるので、予算的な側面に問題なければこちらを選ぶことをお勧めします。
やや抜けが感じられた同年のプティ・プレとは異なり、クロ・デ・フォレに関してはいたって健全な状態だったのでまずは一安心といったところです。基本的なスタンスとして、栽培はビオディナミ、醸造では徐梗をせず全房発酵を行うという点もあるからか、その液体に込められた「圧倒的な魅力を放つ旨味」は、どこか主体となる部分がDRCにも相通じる部分があり、その世界観は一瞬にして飲み手を魅了する傾向にあります。ヴィンテージのスタイルもあるのか、ルロワ程の境地には達していないものの、その絶対的な魅力はすぐに享受できるので、これらの超一流ブルゴーニュ生産者を好む人にとっては要注目生産者だと言えます。
構造を維持するタンニンや黒系果実の要素はしっかりと感じられるものの、プティ・プレとは根本的に質感が異なり、豊かさや充実感、そして滑らかさと異常なまでの浸透感(驚くほどグラスが進む)を兼ね備えているのが印象的です。比較的しっかりとした色調でありながらも、口当たりとしてはむしろ軽快さが感じられ、その流麗さによってコアに内包した「魅力ある旨味(どちらかというとキノコ系)」が、驚くほど自然に体内に浸透していきます。まさに今からが飲み頃といった印象で、そのピークはやや抜栓日よりにあり、翌日以降に持ち越すと果実味の減衰によって外郭の逞しさが残響するきらいはありますが(この一点が唯一の気がかり)、その圧倒的な魅力に身を任せて抜栓日に全てを受け止めてしまえば、非常に高い満足感に包まれ、結果としてかなり高い評価を受ける逸品となりそうな印象でもあります。
(2015/01)