- Good Quality -
ヌメロ・ヌエベに使用される葡萄は、テンプラニーリョ、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルローの3種類。フレンチオークの新樽で16ヶ月間熟成され、2005年の生産本数は27,867本となっています。
下位2つのワインとは異なる世界観が構築されていることもあり、その佇まいや方向性なども多少差異があるように感じられます。より粒立ちのある強いタンニンから成す低めの重心感と、それとは対照的な酸を主体とした比較的タイトな質感がひとつの世界で共存しており、全体的なイメージ像はどことなく「2000年前後のスーパー・キャンティ・クラッシコにも通じるスタイル」といった印象があります。
酸とタイトな体躯が織り成すハイトーンな表情はどこかサンジョヴェーゼ的で、しっかりしたタンニンは補助品種としてのカベルネ・ソーヴィニヨンらしさを感じさせます。長期熟成させるとピノらしくなりそうな雰囲気もありますが、今飲んでも十分楽しめるので、このあたりは飲み手の嗜好によって調整していけば良いと思います。
表情自体はなかなか興味深く、個人的にはしっかり評価したいと感じる世界観ではありますが、全体像を観るとそれほど一般層向けではないこともあるので(それだけスタイルが明確)、場合によっては、より難なく自然に楽しめるセイス・アル・レベスの方が、その親しみやすさの分だけお薦めしやすい傾向にあるかもしれません。
(2010/09)