- Good Quality -
クリュ・ブルジョワながらも格付けシャトーに比類する名声を得ているのがこの「シャトー・グロリア」。2006年は評価も高く、このヴィンテージの中では成功している部類に入りそうです。
最初の一口目から美味しいと思える瑞々しいジューシーさが印象的で、口当たりの良さや分かりやすい美点を持っているとも言えます。反面、内部はかなりしっかりした造り&充実感を持ち、タンニンも非常に豊富でアフターには急速に収縮し口中を渇きと収斂感が襲います。最初の「潤い」と最後の「渇き」が対になった非常に興味深い構成内容で、相対的にやや真ん中の要素が不足しがちではありますが、このあたりは料理と一緒に嗜むことで残りのピースがガッチリ噛み合い、過不足の無い世界観とともに高い満足感を得られる傾向にあるので、現実的には大きな問題になることはないと思います(単体で飲んでもポテンシャル自体は十分)。
その世界観(指向スタイル)に、同年のセニョール・デギュイユとダム・ド・モンローズが持つ両指向をうまく拾って纏めたような印象もあり、世間の高い評価も十分うなずける内容になっていると言えます。格付け外と考えると多少価格が高い印象もあるとは思いますが、内容を基準に考えた場合はそれほど逸脱しているわけではないので、懐に余裕がある人であれば試す価値はありそうです。
(2010/02)