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「一緒」という意味を持つワイン「リンシエメ」。エリオ・アルターレの主導により、主にバローロエリアの生産者が各々で最良の葡萄をブレンドして造ります。売り上げは若手醸造家の育成等にも当てられ、単なるプレミアムワインという位置にとどまらず、ピエモンテの伝統を守るという確固たる意志が込められています(年間生産本数は千本~程度)。
セパージュはネッビオーロとバルベーラが半分ずつですが、僅かにカベルネ・ソーヴィニヨンとメルローがブレンドされているようです。VDTなので基本的にはノン・ヴィンテージ扱いですが、ロットナンバーから1998年のワインだということがわかります。
鉛筆系の香りがあり、ピリッと苦みのある強固なタンニンも存在しますが、1998年らしい丸みのある豊満な果実の力のおかげで、かなり美味しく飲めてしまいます。コリーノらしいスタイルを基調として展開されていますが、果実にかなりの力があるので、すべての要素に上限近くまでエネルギーが封じ込められているようにすら感じます。
グラスに注いで間もない頃は、甘い果実味のおかげで素直に美味しく楽しめますが、徐々に強力なエネルギーを兼ね備えた厳格なタンニンが目立つ傾向にあるので、あまり時間をかけ過ぎず、グラスに注いだ分は早めに飲んだ方が無難だと思います。
「良質の葡萄を結集させた」ということがハッキリ理解できるスタイルですが、決してワインとしての完成度を問うようなスタイルではないので、バランス面においてはやや問題があるのも事実です。しかし、この「満ち溢れるエネルギーの享受」というのは大いに楽しめる要素なので、個人的にはお薦めしたいところです。
(2007/02)